今日における米どころ宮城は, 伊達政宗の食料戦略により始まり, 良質米「ササシグレ」の誕生という3世紀以上にわたる歳月の中で築きあげられてきたものである。その歴史をふり返ってみると, 今日の宮城における良質米は, 土地改良, 品種改良, そして農民の魂が共同で創りあげた代物であることがわかる。土地改良は, 米どころの土台を創り, 近代はその質的な改善を図った。農民たちは, 稲作には不利とも言える冷涼な気候に苦しめられながらも, その土台を継承し, 優良品種の誕生を待った。本報は, 宮城が良質米を大量に生産する真の米どころになるまでの道程を, 土地改良, 品種改良そして農民の魂に焦点をあてながら述べる。