本報では, 農畜産業を中心とした面源対策について流域水質管理の枠組みで取組むための課題について論じた。はじめに最近の農村地域をめぐる水質環境施策をたどった後, 各務原台地, 滋賀県, 米国コロラド州, 肝属川流域におけるそれぞれの面源対策の取組み事例から, 営農対策とそのための組織体制に焦点を絞って, 先駆的取組みや問題点などポイントとなる事項を整理, 抽出した。その結果, 面源対策の課題として,(1) 農地・畜産からの排出源対策の推進,(2) 面源問題に立ち向かうための組織体制や制度の確立,(3) 新技術の開発や科学的知見の蓄積の3点が挙げられた。