近年, 地方自治体は, 国とともに深刻な財政危機, 高度化・多様化する行政需要への対応など多くの問題を抱え, 行政の自己解決能力が機能不全に陥っている。この様な中で, 1990年代以降, 行政と住民の新しい関係としての「協働」が叫ばれ始め, 地域づくりにおいて従来の行政主導から住民主導への本格的な動きが全国各地でみられるようになった。本報では, 近年, いわゆる「公民協働」むらづくりに向けて動き始めた中山間地域を取り上げ,「公民協働」むらづくりの導入に至った背景と推進過程を把握し, 主体の意識面と制度面という側面から課題を考察する。