2017 年 10 巻 1 号 p. 58-69
【目的】
ジュニアゴルファーの保護者に対する食教育プログラムの効果を明らかにし、食教育が保護者の食の知識、意識、行動にどのような影響を及ぼし、選手へどのような影響を及ぼすのかを明確にすることを目的とした。
【方法】
対象者は関東地区に在住の小学校4年生から高校3年生の選手とその保護者で、解析対象は38例の保護者及び選手とした。食教育プログラムを行う実施群(28名)と行わない対照群(10名)に、保護者と選手をそれぞれ振り分けた。介入期間は2014年3月から2014年12月までの9か月間とした。最初に実施群・対照群に、食物摂取頻度調査と食事記録法にて食事調査を行い、選手の食事について保護者に回答してもらった。その後、実施群の保護者に対して食教育プログラムを行った。集団でスポーツ栄養学の講座を4回と、食事調査結果をもとにした15分間の個別面談を実施した。食教育の実施前後で、保護者に対しては、食育に関するアンケート調査を、選手に対しては、食に関する行動変容ステージの調査、栄養素に関する基礎知識、望ましい補食選択に関する知識、補食に関するアンケート調査を行った。
【結果】
実施群の保護者は、食教育の前後で食育ソーシャルサポート(p=0.001)、食育セルフエフィカシー(p=0.001)が有意に高まり、食育行動変容ステージ(p=0.002)が有意に向上した。さらに、実施群の選手は、望ましい補食選択に関する知識(p=0.035)、補食に関する知識、(p=0.014)が有意に向上した。
【結論】
ジュニアゴルファーの保護者に対する9か月間の食教育プログラムは、保護者の食育ソーシャルサポートや食育セルフエフィカシーを高め、食育行動変容のステージを向上させ、さらに、選手の補食に関する知識を向上させる可能性が示唆された。