2018 年 11 巻 1 号 p. 86-92
【目的】
今回対象とした社会人男子サッカーチームでは毎年約6割の選手が4~9月のシーズン中、特に試合後に、体重が減少する傾向があると回答した。そこで、シーズン中の体重維持(体重増減2%以内)を長期目標とした栄養サポートを行った。また、中期目標は、各選手が自分の摂取エネルギー量を把握できるようになることとした。
【方法】
社会人男子サッカーチームの19~32歳の選手26名のうち、体脂肪の減少が必要な者9名を除く17名とした。長期目標に対するアセスメントとして、体重・体組成を測定し、中期目標に対しては自記式の食事記録と写真撮影により栄養素等摂取状況を調査した。サポート開始時の推定エネルギー必要量はPAL2.0を用いて算出し、それを参考にエネルギー補給量を決定した。その後は体重と体組成の増減を確認しながら摂取エネルギー量に関する指導を個別に行った。一方、集団指導では試合後のエネルギー補給法を取り上げた。行動計画は選択肢の中から各選手が実施可能な行動目標を選択して立てた。
【結果】
サポート継続者は17名中16名(継続率94%)であった。シーズン終了時に体重を維持していた選手は8名、増加3名、減少5名であり、全体の目標達成率は50%だった。体重維持できなかった選手はシーズン中に体重のセルフモニタリングが出来ない環境にある者が多かった。
【結論】
体重管理はスポーツ選手にとって最も簡便なコンディショニング指標の1つであり、スポーツ障害の予防、体力維持に有効だと思われる。今後スポーツ栄養マネジメントの企画段階で体重計の複数設置などを含めた計画があると積極的なモニタリングを行うことができ、コンディションを高められる可能性が示唆された。