2021 年 14 巻 1 号 p. 10-16
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により世界中が大混乱となっている中で、日本政府は緊急事態宣言を出した。このため、オリンピック・パラリンピックアスリートのトレーニングにおける中核拠点のハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)も閉鎖となった。スポーツ科学・医学・情報面からアスリートをサポートする国立スポーツ科学センター(JISS)は、HPSCの一部門である。本稿では、COVID-19下でのJISSの支援活動について新設されたコンディショニング課とHPSCの機能強化ユニット・インテリジェンスグループが行なった情報発信を中心に紹介した。HPSCによる情報発信の強みは、スポーツ科学、スポーツ医学の専門家がフルタイムで揃っていることである。さらに、各国の情報を収集する部門があるため包括的な議論ができ、その上で情報発信ができることがHPSCの最大の強みである。
また、今回のCOVID-19による緊急事態宣言を安全に解除していくためには、各種ガイドラインの作成が必須となっており、それはスポーツ界も同様である。オリンピック・パラリンピックという分野において、HPSCがCOVID-19対策としてのスポーツ活動再開ガイドラインの作成を中心的に行なった。