2020 年 20 巻 1 号 p. 27-33
本稿では,A中学校・高等学校の新型コロナウイルス感染症に関する対応について,学校保健の視点から検討し,学校保健活動と心理教育的援助サービスとの関係について考察した。その結果,①保健管理として,学校環境衛生設備の点検と整備,健康観察,健康と生活のアンケート調査,心のケア,②保健教育として,保健の授業の実施,関連資料の提供等の学校保健活動が行われていたことが明らかになった。これらの活動は,校内外の職員との連携・協働によって行われており,学校保健関係者を中心とした“チームとしての学校”が機能していたことが示唆された。さらに,学校保健活動と心理教育的援助サービスの関係では,保健教育は主に一次的援助サービス,保健管理は一次的・二次的・三次的援助サービス,それぞれに対応する活動が見られた。一次的・二次的な援助活動から,援助ニーズの高い生徒を三次的援助につなぐ重要性が示唆された。