静脈経腸栄養
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症例報告
経腸栄養による栄養状態改善に伴い軽快した難治性縫合不全の1例
平光 高久
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2010 年 25 巻 4 号 p. 963-967

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抄録

症例は61歳の男性.2007年7月,他院にて脾門部リンパ節転移による脾静脈閉塞を伴う胃癌の診断で,噴門側胃切除術(空腸間置再建),膵体尾部切除術,脾臓摘出術が施行された.8月上旬の退院後,吐血を認め腹部CTで腹腔内血腫,腹腔内膿瘍を認め,他院に再入院となり開腹止血,ドレナージ術が施行された.8月下旬に再びドレーンより生臭い褐色の排液,吐血,発熱を認めたため,当院に転院となった.腹部造影CTで造影剤の血管外漏出と膿瘍腔を認めたため,動脈塞栓術にて止血した.その後は,ドレーン管理,経鼻的に縫合不全部より肛門側に留置した経管栄養チューブからの経腸栄養で治療した.入院後29日目には血清タンパク値7.3g/dL,アルブミン値3.2g⁄dLにまで改善を認めた.入院後62日目にleakを認めず,瘻孔が閉鎖していることを確認後,経口摂取開始し,入院後68日目に退院となった.

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© 2010 日本静脈経腸栄養学会
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