2020 年 62 巻 4 号 p. 339-347
本研究では,中学校技術・家庭科技術分野の内容「エネルギー変換の技術」の「電気機器の安全な利用方法について考え,事故防止の具体的な方法を身に付ける」学習において,自らの学習を調整しようとするメタ認知力と,本時学習項目の到達度との関連を,授業実践で探索した。伊藤の自己調整学習過程の理論モデルと,ウィリアムの構成主義学習論に基づく「学習のための評価」と一体化した学習指導過程の理論モデルを援用して授業をモデリングし,知識や技能習得における生徒のメタ認知と自己調整学習の内的過程の展開に着目した。授業者が生徒の既習経験を意図的に想起する支援を行った結果,自己調整学習における3段階の各過程で,既有知識に関わる精緻化と体制化の認知的方略が機能し,メタ認知力の働きを高めたことが推察された。