2022 年 64 巻 4 号 p. 243-251
本研究の目的は,中学生のプログラミングにおける試行錯誤のプロセスを質的に検討することである。中学生16名(2人×8グループ)に全5問のプログラムを作成する問題に取り組ませて発話を促し,プログラミング中の画面と発話を記録して,プロトコル分析を行った。プロトコルは,PDCAの各フェーズとその下位のカテゴリに帰納的に分類した。問題解決の達成状況に基づいて上・下位群を設定し,PDCAの各フェーズと問題解決への寄与,非寄与の関係を分析した。その結果,下位群ではDおよびAのフェーズではいまわりが生じていることが示唆された。また,各群におけるカテゴリの時系列パターンの出現頻度が高いパターンについてシーケンシャルパターンマイニングを用いて分析した。その結果,下位群に局所的なプログラムの構成や直感的な修正が散見されていたのに比べ,上位群では演繹的なプランニングやアブダクションを働かせた修正が行われていたことが示された。