抄録
古代ギリシア時代の哲学におけるテクネの考え方は時代を経て内容が移り変わりながら現在の技術の考え方に受け継がれ,学校教育においては小・中・高等学校での技術・情報教育として展開されている。ただ,小学校でのものづくり教育,中学校での技術・家庭(技術分野)教育,高等学校での情報教育や専門教育の流れの中で一貫性を有しておらず,学校種全体での統一的な教育目標が設定されていないため,普通教育としての技術・情報教育全体の考え方を考察する必要に迫られている。(一社)日本産業技術教育学会は「次世代の学びを創造する新しい技術教育の枠組み」を提唱し,従来の中学校教育になかった「システム」の概念で全体を包み込む新たな考え方を提示している。この具体的な内容として,本研究では認識科学と設計科学の考え方,教科架橋の考え方,問題解決の考え方を取り込んで技術・情報教育
についてのシステム的考察を行い,新たな学習内容を提案する。