血液と脈管
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狼瘡腎炎 (Lupus nephritis)
詫摩 武英葛原 敬八郎原 茂子鈴木 好夫中村 一路三村 信英
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1974 年 5 巻 9 号 p. 723-729

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抄録

1. 当院にて入院精査を受けたSLEは37症例で, うち24例 (65%) に狼瘡腎炎の合併を認めた.
2. SLE37例の3年, 5年, 10年間生存率はそれぞれ97%, 93%, 82%である. しかし狼瘡腎炎発症後の24例の生存率 (透析療法に依らず, 保存的療法が可能な期間を指す) はそれぞれ83%, 78%, 43%であって, 腎障害を負うた例の予後はなお良好とはいい難い.
3. 慢性腎炎例では初診時のCcr. 値が予後推測の一資料たりうるが, 狼瘡腎炎例に於ては腎機能正常が必ずしも予後良好を指向しない.
4. 狼瘡腎炎による腎不全例, 全6例に透析療法を施行し, 3例の慢性透析に成功した. 狼瘡腎炎例も透析療法の適応たりうる.
5. 海外でも, 本邦でもSLEの死因別分類では腎不全死が最多を占める. 当院では透析療法を施行してから, 腎不全で死亡した例は10年来皆無であり, 主な死因は化膿症と粟粒結核であった.

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© 日本血栓止血学会
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