Journal of Kanagawa Sport and Health Science
Online ISSN : 2436-7249
原著論文
バレーボールにおける予測能力の正確性と確信度について
──競技経験,ボールメーカー種が与える影響──
三野 桃子石原 正規
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2024 年 57 巻 1 号 p. 37-51

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抄録

 現在,日本国内のバレーボールでは,主に2種類のボール(A社製品:ボールA,B社製品:ボールB)が公式に用いられており,使いやすさ(例えば,色,弾み具合,表面の摩擦等)の認識に大きな差があり,ボールBの方が使いやすいと感じる学生選手が多い(和所ほか,2018).本研究では,プレーに与える影響が極めて大きい予測能力に着目し,競技経験とボールメーカー種の影響を明らかにすることを目的とした.実験では,条件ごとの動画を用いて参加者(経験者,初心者)にサーブの落下地点の予測と確信度評定をさせ,実際の落下地点との距離と確信度をそれぞれ分析した.分析の結果,経験者群の方が,初心者群よりも距離の誤差が小さく,確信度も高かった.また,平均半径誤差(直線距離)には,遮蔽タイミングの効果もみられ,視覚情報の獲得に伴う予測精度の向上が示された.ボールメーカー種要因に関する分析により,直線距離では,ボールAの予測の方がボールBの予測よりも誤差が小さく,それは競技経験とは無関係であった.この誤差について座標系を用いて検討したところ,何れのメーカーのボールも,実際の落下地点よりy軸方向に関してマイナス側(手前)に予測されており,その予測バイアスは,相対的にボールAがエンドライン寄りであり,使いやすいとされるボールBはセンターライン寄りであった.ボールBはボールAと比べて予測精度が低いことが示されたが,これらメーカーの異なる2種類のボールは,奥行き方向に関する予測バイアスが異なることも示唆された.

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