【問題と目的】
チームスポーツは,複数の競技者がチーム内において相互に協力し,共通の目標の達成を目指す必要があることから,戦術の理解,役割の遂行,相互の信頼関係などの複数の要素がチームの成功に影響する.この課題を解決するためには,キャプテンのリーダーシップを考慮する必要がある.現在まで複数の研究領域においてリーダーシップ研究が行われており,性差があることも判明している.そこで,本研究では,女子サッカーチームに所属している大学生アスリートのチームマネジメントに焦点を当て,チームのキャプテンに求めるリーダーシップスタイルを言語的に抽出し,部活動を円滑に進めるためのキャプテンシーについての検討を行った.
【方法】
調査は,関東大学女子サッカーリーグ1部に所属する女子サッカー部員10名(M = 20.90歳,SD =± 1.45)を対象に,自由記述式質問紙をGoogle Formsを用いて作成し,テキストデータのサンプリングを行った.調査内容は,1)基本的属性(年齢,サッカー経験年数,所属部員数),2)所属する部活動のキャプテンの部活動におけるコーチングとマネジメントに関する5つの質問項目(①キャプテンの役割,②心理的サポート方法,③問題への対処方法,④部員への接し方,⑤キャプテンとしての態度)で構成した.
【結果】
サンプリングされたテキストデータに対して,形態素解析を行った結果,824語(使用語:368語)が抽出された.抽出語のうち,出現回数が3回以上の語を高頻度の出現語と捉え,第35位までを明示した.最も多く出現した語は「コミュニケーション」「声」「練習」「チーム」「部員」であった.また,共起ネットワーク分析の結果,キャプテンに求めるリーダーシップスタイルに関する頻出語は,1)部員とのコミュニケーション,2)チームの取りまとめ役,3)プレーヤーとしての姿勢,4)リーダーとしてのキャプテンシーという,概ね4つのカテゴリーに分類されることが示唆された.
【考察】
本研究では,女子サッカーチームにおけるリーダーシップに必要なキャプテンシーについて,テキストマイニングの手法を用いて検討を行った.その結果,概ね4つのカテゴリーに類型化されることが示された.そのため,女子サッカーチームのキャプテンには,各カテゴリーに抽出された語彙の内容を意識的に活用して,キャプテンとしての役割を担うことが,チームのコーディネートをする上では効果的であることが示唆された.一方,女性リーダーが「強く振舞う場合」には非女性的であると批判され,「優しく振舞う場合」にはリーダーらしくないと見なされるというダブル・バインドの問題が残されている.今後,女性チームを率いるキャプテンシーには,時代の変化と共に,現在の社会的・文化的な固定観念となっている「女性=従順・協力的」,「リーダー=断定的・権威的」というバイアスやステレオタイプに捉われることなく,各種のスポーツ競技や各々のチームの持つ伝統・文化・風習に応じて,キャプテンシーの方法を使い分けることが円滑なチーム運営には必要となると考えられる.