抄録
大学生による取材活動は、近年さまざまな形で展開されており、学生が他者と関わりながら情報を収集・発信する実践が広がっている。しかしながら、こうした取材活動を通じた学びに関する質的研究は未だ十分とはいえず、とりわけ学生の個々の背景や取材プロセスに着目し、その教育的意義を分析する試みは十分には行われていない。このような視点からの調査は、学生の主体的な情報発信活動の教育的価値を明らかにし、今後の教育実践への示唆を提供するものとなる。
加えて、大学には留学生や海外にルーツをもつ学生が増加しており、彼らが取材活動に参加する機会も拡大している。彼らは自身の多文化的背景や経験をどのように取材に生かし、そこから何を学んでいるのだろうか。また彼らの取材経験は多文化共生に貢献する人材の育成とどのような関わりがあるのだろうか。こうした問いに取り組むことは、取材活動の教育的意義を多文化共生の視点から再検討し、新しい知見を提供する上でも重要であろう。
このような点を踏まえ、本稿では、留学生および海外にルーツをもつ学生の取材活動に焦点をあて、彼らが自身の背景をいかに活用して取材テーマを設定し、どのようなメッセージを発信し、そこから何を学んだのかを分析する。そしてそこから学生による取材活動の教育的・社会的意義を明らかにする。