ダム建設に伴なう地すべりが最近多発しており, その地すべり発生機構及び防止対策工法の確立が急がれている。特にダム建設に伴なう地すべり発生箇所の予知手法の確立が要望されている。こういった観点からダム湛水に伴なう地すべり発生原因について考察を進めるとともに実態調査を実施した。その結果ダム湛水位急速低下に伴なう地すべりめ発生率が調査地すべりのうち, 60%近くを占めている。さらにダム建設以前, 地すべり対策工事を実施している箇所と建設後地すべりが発生した箇所では明らかな地形的要因の相違が見られる。
これらの相違は地すべりを構成している土塊性状と比較的良い相関を有している。ダム急速低下時の地すべり発生が過半数を占めるということで, ダム湛水に伴なう残留間隙水圧 (残留水位) の推定手法について記述した。