抄録
白神山地は, 東北日本内弧において第四紀垂直隆起量が本邦で最も大きく急速な下刻が進んでいる。このような自神山地の地理的位置の特徴と, 本山地が新第三系堆積岩類の分布地域に位置することの重合現象として, ここには地すべり地形が高密度で発達している。小論は, 本地域における地すべり地形発達を明らかにする観点から追良瀬川沿いに分布する中ノ沢地すべり地について, 地すべり凹地堆積物の掘削調査を2箇所で実施した。その結果凹地は, 2m以上の泥炭層に覆われ, 地すべり堆積物直上を覆う材化石の年代は約8, 000年前の年代値が得られた。地すべり堆積物上に土壌化した地層が認められなかったことから見て, 本地すべりは後氷期はじめに形成されたと考える。また, 当時のすべり面の位置が現河床から150mも高い位置で認められたことから, 追良瀬川流域では後氷期以降急速な下刻が進んだものと考えられる。