抄録
福島県の磐梯山地域において, 食虫類とネズミ類の群集傾度を調査した。標高と植生の異なる40調査地点において, 1972年8月から1981年10月までにスナップトラップを使用して, 10種合計657個体の食虫類とネズミ類を得た。それぞれの地点の群集は, 設定した40地点中最も自然度が低いとみなされる地点からの生態的距離により座標づけされた。この群集傾度は植生自然度の傾度に沿うものであることが明らかとなった。
ヒメヒミズとヤチネズミとヒメネズミは, 自然度の高い方に向って占める割合が増加する傾向がみられ, ヒミズとハタネズミとアカネズミには, 逆の傾向がみられた。
COLEの示数とX2検定によると, ヒメヒミズとヒミズには明らかなすみわけ傾向が認められ, ヒメヒミズとヤチネズミにはともずみ傾向がみられた。