哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan
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飼育下で出生したカモシカの幼体の行動
千葉 彬司
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1974 年 6 巻 2 号 p. 88-93

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抄録

出生後19日目と45日目の行動を, 午前6時から午後6時まで追ったものである。
生長するにしたがい, 行動の種類, 時間などにも変化が現われた。
1) 生後19日目の授乳時間の間隔は, 約3時間であり, 45日目では約6時間であった。
2) 各行動を時間別に多いものから見ると生後19日目には, 坐位休息, 歩行, うたた寝, 採食, 乳を飲む, 立位休息, 坐位はんすう, 走行の順である。生後45日目には坐位休息, 採食, 坐位はんすう, 歩行, 立位休息, うたた寝, 警戒, 乳を飲むの順であり, 生長するにしたがい, 乳に依存する度合は少なくなり, それと同時に雌親に依存する度合も少なくなるようである。
3) 歩行距離は19日目では雌親にくっついた行動が多いためか, 1369mと多く, 45日目には雌親と離れた自主的な行動が多かったためか, わずか628mであった。
また, 歩行することの多いのは朝と夕であった。
4) 19日目の行動は13類型が観察されたが45日目では17類型と多くなった。
5) 成獣では観察されなかった, 乳を飲む, うたた寝, じゃれるなどの幼獣特有の行動が見られた。

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