抄録
感覚障害を伴う視床出血患者一例に対し、通常の理学療法士による歩行訓練(1回約60分、週7日、4週間)に併用し、神経学的音楽療法のリズムによる歩行訓練であるRhythmic Auditory Stimulation(以下RAS)(1回約30分、週5回、4週間)を実施した。RAS後、歩調、重複歩距離、麻痺側健側の各歩幅、歩行速度、左右の対称性において即時的・長期的改善はみられたが、歩行周期における踵接地やつま先の蹴り出しなどの動作の制限に変化は見られなかった。これらのデータより視床損傷の歩行障害に対し通常の歩行訓練にRASを併用することは有用であるが、感覚障害を伴う際、RASに加え感覚障害に対するアプローチを加える必要性があると示唆された。