哺乳動物卵子研究会誌
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射出精子によるウサギ卵胞卵の体外受精
亀山 祐一石島 芳郎
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1989 年 6 巻 2 号 p. 95-107

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抄録

排卵前ウサギ卵胞卵の体外成熟および射出精子による体外受精法について検討した。1) 人工膣で採取した射出精子をBO液中で前培養したところ、前培養3時間の時点で25%、6時間以降で30%程度の精子に先体反応が誘起された。2) HCG注射後9時間に卵胞卵を回収したところ、いずれの卵胞卵も成熟分裂を再開していたが、一部の卵は成熟を完了しておらず、すべての卵が成熟を完了するには4時間の体外培養を必要とした。3) 前培養0および4時間の卵胞卵を2~4時間前培養した射出精子で体外受精し、受精後8時間で固定、染色したところ、前培養0時間の卵胞卵は検査した42個すべてが未受精であったが、前培養4時間の卵胞卵は101個中15個 (14.9%) が受精し、卵胞卵前培養の効果が認められた。4) 交配、HCG注射後24時間に回収した2細胞期胚および1細胞期卵を5種類の培養液で培養し、胚盤胞以降への発育を観察したところ、TCH199+FCS (80.0および60.0%)、M16+RS (92.9および60.0%)、M16+FCS (70.4および62.9%) において良好な発育が認められた。さらに、M16+RSは交配、HCG注射後18時間に回収した1細胞期胚の81.4%を胚盤胞以降に発育させたことから、体外受精卵の発生用培地に適するものと思われた。5) HCG注射後15時間に回収した卵管卵とHCG注射後9時間に回収し、4時間前培養した卵胞卵を体外受精、培養したところ、卵管卵は47個中5個 (10.6%) が2~4細胞期胚に発育し、そのうち1個 (20.0%) が胚盤胞を形成した。これに対して前培養した卵胞卵は113個中7個 (6.2%) が2~4細胞期胚に発育したが、いずれも8~16細胞期胚で発育を停止し、胚盤胞を形成するには至らなかった。

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