経営哲学
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特集 サステナビリティと経営哲学
サステナビリティを主導する企業家活動についての考察 ― 制度的多元性とビジネスモデル構築の観点から ―
涌田 幸宏
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2022 年 18 巻 2 号 p. 115-127

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【要 旨】

サステナビリティを主導する企業家、ないしサステナブルな企業家とは、社会的価値、環境的・生態系的価値、経済的価値を同時に追求する企業家である。2015年、国連でSDGsが採択されて以来、サステナブルな企業家活動に関する論文が多数発表されているが、その研究は端緒についたばかりである。本論文は、サステナブルな企業家活動に関する研究をレビューし、今後の研究に向けた指針を探ることを目的とする。具体的には、特に事業創造プロセスの観点から制度的多元性におけるビジネスモデルの構築について議論する。サステナブルな企業が追求するトリプルボトムラインの価値は、しばしば矛盾し対立する。そのため、企業家は制度的多元性のコンフリクトに直面することになる。本論文では、サステナブルな企業家は、どのようにロジック間の競合を解消し、ビジネスモデルの構築と刷新を行っていくのかについて考察する。そして、異質な価値への段階的・逐次的な対応とビジネスモデルの変化を説明し、資源としてのビジネスモデル、価値主導的なビジネスモデルの組み替えという視点を提示する。最後に、今後のサステナブルな企業家活動研究の課題を示唆する。

1.緒言

2015年、国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことによって、「サステナビリティ」、「持続可能な開発」(sustainable development)の概念が脚光を浴びている。「持続可能な開発」とは、「環境と開発に関する世界委員会」(World Commission on Environment and Development:WCED)によれば、「将来の世代の欲求を充たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」と定義される(WCED, 1987, p.43:大来監修, 1987, p.66)。

企業家活動研究においても、サステナビリティを主導する企業家(sustainability-driven entrepreneur)、サステナブルな企業家(sustainable entrepreneur)に関する論文が多数発表されるようになってきている。サステナブルな企業家とは、飢餓や貧困、社会福祉などの社会的課題、地球温暖化や自然破壊、生物多様性などの環境問題の解決に資することを目的として事業を展開する企業家である。2010年、ベンチャー企業研究で著名な学術誌、Journal of Business Venturingが「持続可能な開発と企業家活動」という特集を組んでいる。それによれば、学術論文のデータベースを使った調査結果として、2002年までは、このテーマに関連した論文はほとんどなく、それ以降増加傾向にあること、その多くは企業家活動の研究者ではなく持続可能な開発の研究者によるものであることが指摘されている(Hall, Daneke and Lenox, 2010)。

表1 「サステナブルな企業家」に関する論文数の推移

また、学術論文データベース「Web of Science」を用いて、“sustainable entrepreneurship”をトピックスに含む学術論文(articles)を検索すると、2021年7月30日時点で、411本が検出された。年代別では、表1のとおり、2001年以前は論文がなく、2002年以降からこのテーマを扱った論文が発表されはじめている。そして、特に論文が急増するのは、2015年からであることがわかる。これは国連サミットで採択されたSDGsの影響が考えられる。Web of Science上の学術分野別で掲載論文を分類すると、最も多く論文が発表されている領域はBusiness(171)、Management(131)であり、近年では経営学関連の分野で研究が盛んに行われるようになっていることがわかる。以下、Green Sustainable science technology(121)、Environmental science(120)、Environmental studies(103)となり、環境科学や環境テクノロジー関連の分野で多くの論文が発表されている。

サステナビリティにおける企業家活動の研究は、ベンチャー企業が市場と社会全体の持続可能な発展にどのように貢献できるのかという方法論を探求するダイナミックで野心的なアプローチである(Haldar, 2019)。しかしながら、その研究はいまだ端緒についたばかりであり、課題も数多く残されている。そこで、本論文は、サステナブルな企業家活動に関する研究をレビューし、特に事業創造プロセスの観点から制度的多元性におけるビジネスモデルの構築について議論し、今後の研究に向けた指針を探ることを目的とする。具体的には、サステナブルな企業家の特質と属性論を概観したのち、環境・社会・経済という異なる制度ロジックから構成される制度的多元性に対処する上で、企業家はどのようにビジネスモデルを構築するのかについて議論する。ここでは、異質な価値への段階的・逐次的な対応とビジネスモデルの変化を説明し、資源としてのビジネスモデル、価値主導的なビジネスモデルの組み替えという視点を提示する。最後に、今後のサステナブルな企業家活動研究の課題を示唆する。

2.サステナビリティと企業家活動

2.1 概念と研究動向

サステナビリティの観点からみた企業家精神ないし企業家活動(entrepreneurship)の研究は、どのように展開されてきたのであろうか。サステナブルな企業家活動の多くの論考において取り上げられているテーマは、伝統的な企業家活動とどのような違いがあるのか、という点である。一般的には、企業家とは、個人的利益や効用を最大化するために、市場プロセスのなかで事業機会を探索し、経済的価値を追求する存在として概念化されている。これに対して、サステナブルな企業家は、トリプルボトムラインの要件を念頭に置き、事業活動を通じて環境的問題、社会的課題を解決することによって、経済的価値を生み出していくイノベーターとして認識される(Schlange, 2009)。

サステナブルな企業家を概念化する場合、注意すべき点は、「サステナビリティ」の概念には、空間的・時間的な視野の拡張を伴っていることである。まず、空間的には、飢餓や貧困、保健などのように、先進国のみならず発展途上国を含めたグローバルな課題の解決が目標とされている。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことがSDGsの理念として誓われていることからも明らかである。次に、時間的な側面では、WCEDの持続可能な開発の定義からもわかるとおり、現在のみならず将来の世代の欲求も損なわないことが「サステナビリティ」の含意である。こうした「サステナビリティ」の概念を前提とすれば、身近な地域社会の問題のみならず、グローバルかつ長期的な視野のもとで、「世代内公平」と「世代間公平」を追求するという点に、サステナブルな企業家活動の特徴があると言えよう(Belz and Binder, 2017Schlange, 2009)。

このように起業の動機・目的の観点からサステナブルな企業家活動を捉える見方がある一方で、起業のプロセスをより強調した見解もみられる。たとえば、Belz and Binder (2017)は「経済的、社会的、環境・生態系的な利益をもたらす未来の財やサービスを実現するために、個人が機会を認識し、開発し、利用すること」(p.2)として定義している。ここで、問題となるのは、企業家はどのように事業機会を認識・発見していくのかという点である。Cohen and Winn (2007)は、環境・生態系の数多くの問題は、市場の不完全性によってもたらされており、企業家は、これらの課題とそれに伴う市場の不完全性に関する知識を背景として、問題解決に向けたイノベーションを創造していくと示唆している。サステナブルな起業機会の源泉としての市場の不完全性として、彼らは次の4点をあげている。①企業の資源配分は必ずしも効率的に行われない、②市場には負の外部性が存在する、③価格決定メカニズムの機能は不完全にしか働かない、④情報の配分は不完全であり、非対称性が発生する。たとえば、低賃金労働は、労働の価値が市場で適正に評価されていないためであり、このような資源の収奪と貧困、資源の非効率な利用と廃棄などの社会の持続可能性に影響する問題はこうした市場の不完全性から発生し、サステナブルな企業家はここに起業機会を認識・発見・創造するのである(Cohen and Winn, 2007)。

2.2 サステナビリティと共感性

サステナブルな企業家を起業機会の認識・発見・創造から特徴づけるとしても、なぜ社会のサステナビリティの実現を目指し、市場機会を探索するようになったのか、という問題に関しては明確な回答が得られていない。そのため、企業家の認知的・感情的要因という観点から、起業機会を認識する重要な能力として「共感(empathy)」に焦点を当てる研究が少なからず報告されている(涌田, 2020)。

一般的に、共感とは「他者の情緒的な状態に対して、配慮を持った反応をしたり、理解したり、また共有したりすることを可能にする自然な能力であり、誕生から死に至るまで、私たちの社会的なインタラクションにおいてきわめて重要な役割を果たす」ものである(板倉, 2014, p.31)。共感は、単一ではなく複合的な概念であり、次の2つの要素から構成されている(梅田, 2014)。ひとつは認知的共感(cognitive empathy)であり、他者の感情や考えていることを推論し、理解することである。この共感の局面は、他者の視点を取得し、推察するという論理な思考を伴うものである。もうひとつは情動的共感(emotional empathy)で、これは推論するだけではなく、他者の心の状態を共有し、身体的な反応を伴って理解するというものであり、情緒的な感情を含んでいる。一方、Hockerts(2017)は、共感性を認知的要素と情動的要素のほかに、共感的関心を加え、3次元に区分して整理している。共感的関心(empathic concern)とは、他者の状況に思いやりや温かい思いを持って反応する傾向を指し、他者の困難な状況を慮り、その状況を改善しようとする、よりポジティブな利他主義的行為を含んだ概念である。

近年では、こうした共感性が企業家活動にとって重要なコア・コンピテンシーを構成することを明らかにする研究が蓄積されつつある(Brown, Adger, Devine-Wright et al., 2019Ruskin, Seymour and Webster, 2016)。ただし、単純に、高い共感性がサステナブルな事業創造に結びつく、というわけではない。換言すれば、他者の視点を取得し、他者の身になって考える能力それ自体が、サステナビリティを志向する企業家になろうとする意図につながるわけではないだろう。Bacq and Alt (2018)の研究では、共感性は、2つの相補的な動機づけメカニズムを通じて社会性の高い企業家の意図に影響を与えると提案している。ここでいう2つの相補的メカニズムとは、自己効力感(企業家活動を行う上での、自身の能力に対する自信)、および社会的価値(自分の活動が潜在的な対象者にとって支援となり、援助が評価されると想定すること)である。また、彼らは、共感について2つの次元、すなわち、認知的共感(他者視点取得)と情動的共感(共感的関心)に着目し、社会起業家コースに参加した大学生を対象に調査を実施している。その結果、以下の点が明らかとなっている。①他者視点取得は共感的関心に影響を与えるとともに、②他者視点取得は、社会的価値の認識を通じて、社会的企業家の意図に寄与する。③共感的関心は、自己効力感の認知を介して、社会的企業家の意図を高める。他者の立場や視点から状況を把握することによって、どのような活動が実際に他者の支援に資するのかが明確になり、企業家活動を促進するとともに、他者の置かれた状況を改善しようという関心は、それを達成する能力を持ち合わせているという自信が裏付けとなる時に、実際の社会的な企業家活動を生み出す、と考えられるのである(Bacq and Alt, 2018)。

3.媒介機能としてのビジネスモデル

前節で検討した先行研究は、サステナブルな企業家活動を起業目的や機会認識、企業家が有する顕著な能力という観点から特徴づけるものであった。しかしながら、企業家がサステナビリティについての動機や目的を持っていても、事業化に成功するとは限らない。そのため、近年では、企業家がどのような思考様式で組織を設計し、具体的に事業を創造し遂行していくのかを明らかにしようとする研究が展開されている。換言すれば、企業家の価値観や起業動機・目的を事業として成立させるために、どのようにビジネスモデルを構築していくのか、という問題である。

前述したように、社会的課題の認識が実際の事業活動に結びつくためには、自己効力感と社会的価値が相補的メカニズムとして必要とされる。これを事業創造プロセスの観点で表現すれば、①テクノロジー開発や補完的資源の確保など、継続的な事業として成立するための組織能力に関する見取り図が明確化されていること(自己効力感)、②事業が社会の持続可能性にとって十分な成果を生み出す道筋が成り立っていること(社会的価値)を意味しており、適切なビジネスモデルの設計の問題としてとらえることができる。

ビジネスモデルとは、「顧客への価値提案を支える論理、データ、その他のエビデンス、そしてその価値を提供する企業の実現可能な収益とコストの構造を明確にしたものである。つまり、企業が顧客に提供する利益、それを実現するためにどのように組織化するのか、提供する価値の一部をどのように獲得するか、に関するものである」(Teece, 2010, p.179)。Chesbrough and Rosenbloom (2002)は、ビジネスモデルを「テクノロジーの潜在能力を経済的な価値の実現につなげるヒューリスティックな論理」(p.529)と表現し、創出された事業機会や利用可能なテクノロジーを顧客価値の実現につなげる媒介機能としてビジネスモデルを捉えている。

Schaltegger, Hansen and Lüdeke-Freund (2016)は、サステナビリティのためのビジネスモデルを、「(i)顧客やその他のすべてのステークホルダーに対する企業の持続可能な価値の提案、(ii)この価値をどのように創造し、提供するか、(iii)組織の境界を越えて自然・社会・経済資本を維持・再生しながら、どのように経済価値を獲得するかを説明、分析、管理、伝達することを支援するもの」と定義している(p.6)。ビジネスモデルは、新たなテクノロジーやその他のイノベーションによる生態的、社会的、経済的価値の創造を可能にする仲介役であり(Lüdeke-Freund, 2020)、「市場の不完全性によって認知されたサステナビリティに関する事業機会や利用可能なテクノロジーと、サステナビリティの価値の提案・創造・獲得とを媒介する事業の設計図」と表現することができよう。ここで、「事業機会/テクノロジー→ビジネスモデル→サステナブルな価値(環境的・社会的・経済的価値)」という図式を想定すると、この図式は2つの部分に分けて考えることができる(Lüdeke-Freund, 2020)。まず前半部分は企業家が事業機会を発見し、ビジネスモデルを設計するプロセスである。これは、戦略的構想の“成果物”としてビジネスモデルをとらえる考え方である。一方、後半部分は“価値の源泉”としてのビジネスモデルを表している。すなわち、事業の設計図としてのビジネスモデルを活用して、様々なステークホルダーに対して価値を生み出し、配分する局面を意味するものである。ビジネスモデルの媒介機能は、実際にビジネスモデルをどのように活用して価値を創造し、獲得するのかという面にも視野を広げる考え方であるといえる。

では、サステナブルな企業家は、具体的に、どのような考え方に立脚してビジネスモデルや組織を設計し運用するのであろうか。従来の企業家研究では、利益最大化の手段としてのビジネスモデルを前提としていたため、環境的・社会的動機を想定したビジネスモデル設計に関する研究は十分に蓄積されているとは言えない。Parrish (2010)は、サステナビリティを重視した企業家が成功しているのは、環境的・社会的・経済的要請という競合する目的を同時に達成する組織のデザインや思考様式が卓越しているからであり、企業家の動機から行動の有用性へと研究関心を移すことを提唱している。そして、独自の意思決定や思考様式を明らかにするために、サステナビリティという明確な目標のもとで、ある程度長期間事業を継続的に展開してきた企業家を対象として、複数の事例研究を実施した。その結果、サステナブルな企業家は、人材や自然環境を、単に富を生み出す手段として捉える(搾取的推論)のではなく、それらの資源をより豊かにするための道具として企業を認識していることが析出された。こうした観点に立った組織化の設計原理をParrish (2010)は「永続的推論」(perpetual reasoning)と呼んでいる。

永続的推論は、以下の5つの要素から構成されている。①資源永続化の原理(人や自然の資源を可能な限り長期にわたって機能の質を高め、維持する方法で利用する)、②利益の積み上げの原理(多くの関連するステークホルダーに有益な結果が生まれるように、組織活動を構造化する)③戦略的満足化の原理(競合する目的の均衡をはかるために、量的・質的に満足できる水準を戦略的に設定し、継続的に達成できるように業務を管理する)、④質的マネジメントの原理(意思決定の基準を“より多く”ではなく“よりよく”とし、量よりも結果の質を重視する)、⑤価値ある貢献の原理(組織の資源に影響力を持っているステークホルダーではなく、企業に対して価値のある貢献を行っているステークホルダーに優先的に利益を与える)。

このような永続的推論の構成要素のうち、とりわけ「質のマネジメント」と「価値ある貢献」の原理は、前述したビジネスモデルの媒介機能のなかで、活用局面に関連している。どのような成果を重視し、価値をステークホルダーに配分するのかということに関するビジネスモデルの運用指針と言うことができる。サステナブルな価値を実現するためには、サプライヤーや資金提供者、テクノロジー・ノウハウ等の補完的資産の保有者など、多様なステークホルダーとのパートナーシップの構築が必要とされる。サステナブルな理念とこうした意思決定原理を反映したビジネスモデルの活用は、価値のあるパートナーの協力を引き出すための重要な手段となりえる。換言すれば、ビジネスモデルは、起業間もないベンチャー企業が、ステークホルダーの支援や正当性を獲得するための有益な資源となるのである。

また、ビジネスモデルは、サステナブルな価値という観点から、企業家がパートナーを選択する際の基準・指針としても機能する。Schlange (2009)は、サステナブルな企業家活動において、多様なステークホルダーとのパートナーシップを構築し、選定する際の準拠基準として、「正当性」、「哲学」、「インパクト」を挙げている。すなわち、当該事業の倫理的・社会的な望ましさ(社会的善)が確保されるかどうか(正当性)、企業家とステークホルダーとの個人的な価値観が一致するかどうか(哲学)、パートナーシップによって、経済・社会・環境/生態系の各層においてポジティブな変化を実現する可能性が高いかどうか(インパクト)、ということである。こうした基準を参照しながら、いかにビジネスモデルを一連のストーリーとして明確に語り、パートナーを選択し、支持を得て協力を引き出すのかが、サステナブルな企業家の重要なスキルであると考えられる(Lounsbury and Glynn, 2001)。

4.制度的多元性におけるビジネスモデルの構築と活用

Schlange (2009)はさらに、サステナビリティを志向した事業の課題として、追求する価値が「多元的で多視点的」であり、しばしば競合しうることも指摘している。新制度派組織論の観点から換言すれば、社会企業家やサステナブルな企業家は、制度ロジック間の競合という「制度的多元性(Institutional Pluralism)」(Dunn and Jones, 2010)に対処しなければならない(Clercq and Voronov, 2011Mitzinneck and Besharov, 2019)。企業家は、既成の規範から独立した存在ではなく、社会的行動に安定性と意味を与える認知的、規範的、規制的な構造とプロセスによって埋め込まれている(Arenas, Struminska-Kutra and Landoni, 2020)。社会的企業やサステナビリティを志向する企業が、社会的・環境的な目標を達成しようとすれば、さまざまなステークホルダーグループからの異質でしばしば矛盾する価値観、期待、規範からの影響を受けることになり、その矛盾を解消するために組織のマネジメントやガバナンス構造を工夫しなければならない。ビジネスモデルは、多様な制度ロジックが反映され、組み合わされて形成される(Laasch, 2018Ocasio and Radoynovska, 2016)とするならば、環境・生態系的、社会的、経済的価値の間の緊張や葛藤を緩和し解消する形で、サステナビリティを志向したビジネスモデルは構築されることになる(Gregori, Wdowiak, Schwarz and Holzmann, 2019)。

Matzembacher, Raudsaar, Barcellos and Mets (2020)は、7カ国(ブラジル、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、ラトビア、リトアニア)におけるサステナブルな企業家12事例を定性的に調査し、それらのビジネスモデルが多様な価値観の緊張をどのように改善しているのかを明らかにした。通常、サステナビリティの価値を製品・サービスに付加するとすれば、コスト増になり価格に反映されることになる。このため、ビジネスモデル上、価格をできるだけ下げる仕組みを構築するか、あるいはサステナビリティに関連する高価格を許容するような付加価値を提供するようなビジネスモデルを開発することによって対応することになる。後者の場合、2つのパターンが考えられる(Matzembacher et.al., 2019)。第1に、サステナビリティの価値が品質の向上と関係している場合、価格が高くても環境に優しい商品を選好する顧客のニッチ市場に焦点をあてることである。第2に、製品・サービスへの排他的な価値(他では入手できないという価値)を強調することである。Matzembacher et.al. (2019)によれば、成功しているビジネスモデルには以下のような特徴が見いだされたとしている。

  1. (1)  環境配慮などによるコスト増を直接販売やインターネットの活用などで吸収し低価格を実現させ、顧客への利便性を高める。
  2. (2)  製品・サービスを超えた無形の価値を提供する。顧客のコミュニティを形成し、社会的・環境的利益を促進させる一員であるという経験を共有する。サステナビリティに関する消費者教育なども実施する。
  3. (3)  バリューチェーン内のステークホルダーとのパートナーシップ形成を推進する。サステナビリティに関するディスカッション・フォーラムや実践的活動の場を提供する。
  4. (4)  SNSなどを通じた情報提供によって、顧客に対して活動の透明性をはかる。
  5. (5)  社会的、環境的課題を解決すること自体を事業とし、同時に経済的使命をはたすようにする。サステナビリティを自社の戦略に組み込む。

しかしながら、成功しているビジネスモデルを記述することは、2つの点で限界が指摘される。1つは、現在のビジネスモデルに至るプロセスが分析されていないことである。相対立する価値や制度的ロジックは、すべてが当初から企業家にとって認識可能であるわけではない。それゆえ、起業から現在に至るまでの価値間の緊張の発生とビジネスモデル改革によるコンフリクト解消がどのように行われたのかについて検討が必要であろう。2つ目は、事業によって価値やロジックの対立の程度が異なることが考えられる。比較的容易に解消される緊張もあれば解消が難しいケースも存在する。したがって、深刻な対立の発生と、それにともなうビジネスモデルの変化の事例を目的的にサンプリングすることによって抽出し、分析することが望まれるのである。

5.資源としてのビジネスモデル

5.1 制度ロジックの緊張と解消

Belz and Binder (2017)は、サステナブルな企業に関する先行研究をレビューし、企業家活動の包括的なプロセスを検討した研究が皆無であること、営利組織の文脈で、サステナブルなベンチャー企業がどのようにトリプルボトムラインの諸価値を統合しているのかについて解明されていないことを指摘している。このため、サステナビリティを志向したベンチャー企業4社を取り上げ、事業の立ち上げのプロセスを分析した。その結果、サステナブルな企業家活動は次の6つのフェーズから構成されることが析出された。①社会的・生態系的な問題の認識、②社会的・生態系的機会の発見、③ダブルボトムラインの解決策の開発、④トリプルボトムラインの解決策の開発、⑤サステナブルな企業の資金調達と形成、⑥サステナブルな市場の創造と参入。

Belz and Binder (2017)の調査によれば、サステナブルな企業家活動の契機は、私生活や日々の仕事の中で直接遭遇した社会的課題や環境・生態系上の問題に事業機会を発見したことであるとしている。たとえば、サバティカルやインターンシップで海外を訪れた際に目の当たりにした、現地の過酷な労働環境や自然破壊、環境汚染などであり、こうした市場の不完全性を解決するビジネスモデルを発想し、起業することを意思決定しているのである(Cohen and Winn, 2007)。

さらに、重要なことは、サステナブルな企業家は、経済・社会・環境/生態系というトリプルボトムラインを追求するとされているが、社会的課題と環境的課題を同時に解決するのではなく、逐次的に解決していくという点である(Belz and Binder, 2017)。たとえば、低賃金労働を解決するために、生産者と消費者との直接取引の仕組みをつくり、フェアトレードを実現させた後に、CO2削減に取り組むという段階的な対応である。トリプルボトムラインの挑戦的な課題の複雑さを軽減するために、まずは、ひとつの課題に焦点を絞り、特定のステークホルダーの求める価値と一致させることで対処し、順次解決する問題を広げていくのである。

トリプルボトムラインの諸価値の段階的解決は、Gregori, Wdowiak, Schwarz and Holzmann (2019)の研究でも指摘されている。サステナブルな企業家は、広範な社会的・文化的なコンテクストに埋め込まれており、多元的で矛盾した価値や規範に対処しながら、ビジネスモデルを変化させて事業を発展させていく。その際に、企業家はいくつかの段階を経ながら順次複数の制度ロジックをビジネスモデルに統合していき、最終的に多元的な価値が組み込まれたビジネスモデルを形成するのである(Gregori et al., 2019)。

では、サステナブルな企業家は、どのように複数の異なる制度ロジックを経験し、ビジネスモデルに組み込んでいくのか。この問題を解明するために、彼らはある企業家の詳細な事例研究を実施している。以下、本事例を紹介し、ロジック間の対立におけるビジネスモデルの機能について、知見を得ることにしたい。

5.2 Gregori et al. (2019)の事例研究

Gregori et al. (2019)は、事例として、アフリカのウガンダにおいて、現地調達した生分解性素材やプラスチックをアップサイクルして製品化するベンチャー企業を取り上げている。創業者は、28歳のオーストリア出身のサイモン氏である。彼は、8歳の時にクリスチャンとなり、貧しい人や困っている人を助ける義務を学び、オーストリアの洪水災害の際には被災者支援に尽力している。その後、コソボ戦争の惨状を経験した子供たちのために寄付金を集めるなど、ヨーロッパ各地でボランティア活動に従事した。

起業のきっかけは、休暇で訪れたウガンダでの生活であった。異文化を知るための旅行であったが、現地の人々と一緒に家を建てたり、畑で作物を育てたりするなど、日常生活の支援に精力的に取り組んだ。こうした経験を通じて、彼は宗教上のコミュニティネットワークを利用して、マイクロクレジットを目的とした地域密着型組織の設立を着想した。現地の人々の貧しい生活をできる限り改善したいという思いからであった。

その後、ウガンダの社会により一層貢献したいという考えから、現地の人々の移動手段の欠如に着目し、リサイクルした竹でフレームをつくった自転車「FairCycle」を発想したのである。この事業では、現地の人々に自転車の作り方を教えるワークショップを開催して協働の生産現場をつくり、将来はヨーロッパにも輸出することが構想された。これによって、現地の人々に通勤・通学などの移動手段を提供するとともに、雇用と教育の機会をつくりだすことが可能となったのである。

サイモン氏は、こうした起業段階を経て、CO2と廃棄物の削減を目指して生分解性材料とリサイクルプラスチックを使うことで環境価値の獲得もはかっている。ウガンダの人々が地元の素材や環境に配慮した材料で現地生産し、オンラインショップで販売し、海外に船で輸出するというビジネスモデルであった。

しかしながら、この構想は資金調達の面で躓くことになった。インキュベーターは商業的なロジックの観点からヨーロッパの市場ニーズには適合しないと判断したのである。また、輸送などのコスト、量産可能性という面でもマイナスの評価であった。これは、環境的、社会的価値と商業的価値とのコンフリクトを意味しており、製品の見直しとビジネスモデルの再定義を迫るものであった。そこで、サイモン氏は、量産化はより多くの雇用を生み出し、リサイクル率を高めることができると考え、自転車という製品に固執せず、いままで経験を積んだ竹とプラスチックを使って何ができるのか、検討し始めたのである。その結果、スキーやハイキング用のポールの生産・販売へと、ビジネスモデルを転換することとなった。「量産化、収益性、顧客重視という新たな指導原則をリフレーミングし、主観的な利点を抽出することによって、ロジックと彼自身の選好・目標との一貫性を見いだし、規定されたロジックに従う方法を見つけることができたのである。」(Gregori et al., 2019, p.13)。

しかしその後、竹とプラスチックで製造したポールは、耐久性と安全性という点で問題があることが判明した。工業生産のロジックは、自然素材、地域素材、リサイクル素材を使いたいというサイモン氏の環境的価値と相容れないものであり、環境価値を放棄して別の素材で生産するという選択肢も考えられなかったのである。そこで、次に彼が着目したのが、ポール製造の際に自前で開発した「射出成形機」であった。独自の「射出成形機」を利用することで、眼鏡のフレームなど様々なリサイクルプラスチック製品を生産でき、環境価値が維持される上に、射出成形機自体を生産・販売することによって収益向上も期待できた。こうして、サイモン氏は多元的なロジックの競合状況に対して、再度ビジネスモデルを変化させて対処したのである。

Gregori et al. (2019)は、上記の事例研究からいくつかの重要な示唆を導き出している。第1は、日常的な生活や仕事での経験が、サステナブルな起業への契機となることである。サイモン氏は幼少時にクリスチャンとなり人々のつながりの大切さを学習し、ボランティアの経験も積んでいた。「彼の信仰には、地球のニーズ、現在と将来の世代のニーズに合致した、慎重かつ現実的な均衡のとれた環境へのアプローチも組み込まれている」(Gregori et al., 2019, p.10)。サイモン氏は、幼少時の経験が、社会的価値・環境的価値を受容するような、認知・思考・行為を生み出す性向である「ハビトゥス」(Bourdieu, 1980)を形成し、サステナビリティへの共感性を体得したのである(Gregori et al., 2019)。

第2に、サステナブルな企業家活動では、潜在的な多様な制度ロジックは、常に同程度に認識されるわけではなく、個々の企業家が保持している優先順位や重要度によって異なっている点である。この発見事実は、前述したBelz and Binder (2017)による環境的・社会的・経済的価値の段階的解決の指摘に通じるものである。企業家は限定された合理性(Simon, 1997)のために、あらゆる課題を認知することはできず、事業を展開する中で逐次解決が不可欠な課題に直面していく。その際に、多くの潜在的なロジックが顕在化するのである。

第3の示唆は、新たに顕著になったロジックに対して、どのようにコミットするかは、企業家に選択の余地があることである。竹の自転車をヨーロッパ市場に輸出しようとしたときに、顧客ニーズへの適合性が問題となった。移動手段の提供という社会的価値を優先すれば輸出という選択肢を放棄する方法もあったが、「量産化は、より多くの雇用を生み出し、リサイクル率を高める」という解釈に立ち、自転車という製品に固執せず、環境に優しい製品をヨーロッパ市場に普及させるという目標に切り替えている。資金調達と収益性という商業的ロジックにコミットすることを選択し、ビジネスモデルの刷新をはかったのである。

第4に、ビジネスモデルの変更には、これまでのビジネスモデルに埋め込まれた、利用可能な資源やネットワークが活用されることが指摘される。Lévi-Strauss (1967)は、手近な資源の寄せ集めでなにかを造ったり利用したりすることによって当面の問題を解決していくことを「ブリコラージュ(bricolage)」と呼んだが、資源不足に直面しているスタートアップの企業家も同様に、手元にある資源の組み合わせを新しい問題と機会に適用することによって、事業を進化させている(Baker and Nelson, 2005)。Gregori et al. (2019)の事例においても、現地で容易に手に入る竹という資源に着目して移動手段の提供という社会的価値を生み出し、工業生産のロジックとの対立に際しては、ポール製造のために自前で開発した「射出成形機」を活用して対処している。これまでのビジネスモデルで蓄積された資源やテクノロジーがイノベーションの源泉となっている。ビジネスモデルは「制度化された要求を実行するために利用できる資源やレパートリーのストックとして機能する」のであり、サステナブルな企業家にとってのブリコラージュとは「利用可能な物質的資源とネットワークを再配置して、出現した制度ロジックを反映したビジネスモデルの新たな構成を可能にする」プロセスなのである(Gregori et al., 2019, p.21)。

6.ディスカッション

前節ではGregori et al. (2019)の研究を概観したが、次に本事例を再解釈し、サステナブルな企業家活動について、さらなる知見を得ることにしたい。上記の通り、彼らは企業家活動のブリコラージュ性を論じているが、ブリコラージュには主として3つのパターンが存在すると思われる。1つは、未利用の資源に価値を見いだし、利用可能にすることである。2つ目は、入手可能な外部の既存資源を活用することである。そしてもう1つは、組織内ですでに利用されている資源に対して、別の用途を見いだし、新たな機会に転用していく方法である。この第3のケースで困難な点は、既存のビジネスモデルのなかで資源が特定の意味を付加されているということである。すなわち、当該資源の目的がすでに定義されているため、そこに異なる価値を見いだすことが難しくなってしまう。さらに、ビジネスモデルの中で、お互いの資源が緊密に関係づけられている場合、定義の固定化がより強固になっていく可能性もある。アーティファクトは、他のアーティファクトとの関係の中でその存在が意味づけられるとすれば、そこに新たな価値を発見するためには、それらのつながりを解きほぐし、緩やかな連結へと変化させていかなければならない。換言すれば、ビジネスモデルの構成要素を分解し、新たな視点で再結合するという思考様式が必要とされるのである。

多元的な制度ロジックのコンフリクトに直面した際に、ビジネスモデルの分解(decoupling)と再結合(recoupling)を適切に導く指針は、サステナブルな企業家が抱く根源的な価値であろう。サイモン氏は、社会的・環境的ロジックと商業的ロジックとの対立が生じた際に、ウガンダの人々に移動手段を提供するという社会的価値を見直す一方で、現地の労働者に対する雇用と適正な賃金の実現、環境に優しいリサイクル製品の提供という価値を固持した。彼にとって、この社会的・環境的価値が起業の根幹となるものであり、価値主導的なビジネスモデルの組み替えによって、商業的ロジックとの調和を実現させたのである。

サステナブルな企業家にとって、根幹となる価値を主軸とする意義は、4点ほど指摘できる。第1に、サステナビリティの実現のために、何がどのように利用できるのかということを問い直すことが可能になる点である。第2に、本来の価値を根底に置くことによって、ビジネスモデルを刷新しても一貫性が担保し得ることである。さらに、企業家の堅持する価値を訴求することによって、ステークホルダーからさらに正当性を獲得することもできるであろう。最後に、企業家の視野狭窄を回避できる点も指摘できる。企業家は動もすれば目の前の課題に注意を焦点化してしまうために、より重大な社会的・環境的価値を看過してしまうおそれがある。このため、根源的な価値に回帰することは、俯瞰的な視野から発想し、事業を再考する機会を企業家に与えることになるであろう。このように、サステナブルな企業家が、制度的多元性によるコンフリクトに対応するためには、どのような社会のサステナビリティを目指すのかという原点に立ち戻り、価値主導的な資源・テクノロジー、組織能力の組み替え(ブリコラージュ)を促進していくことが重要であろう。

7.結語;今後のリサーチ課題

サステナブルな企業家とは、飢餓や貧困、社会福祉などの社会的課題、地球温暖化や廃棄物、汚染などの環境問題の解決に資することを目的として事業を展開する企業家である。その企業家活動の特徴は、企業それ自体の発展を目指すのみならず、多元的なサステナブルな価値を実現するための装置・道具として企業組織やテクノロジーを位置づけることにある(永続的推論)。しかしながら、企業家が直面する問題は、制度的多元性によるコンフリクトである。すなわち、トリプルボトムラインの諸価値(社会的・環境的・経済的価値)は両立せず、しばしば矛盾し対立することにある。

本論文では、Gregori et al. (2019)などの先行研究から、サステナブルな企業家活動では、多元的・競合的ロジックに対処するため、ビジネスモデルの逐次的・段階的刷新が行われることが示された。企業家は限定合理性のために、あらゆる問題を事前に認知することはできず、特定の課題に注意を焦点化させる(Simon, 1997)。また、スタートアップ時は資源不足に直面しており、複数の課題に同時に対応することはできないであろう。そのため、事業の拡張につれて、顕在化したロジックに対して、ビジネスモデルを段階的に刷新して対処していくことになる。この際に、既存のビジネスモデルで蓄積された資源・テクノロジー、ネットワークが見直され、ブリコラージュ的に利用される。ビジネスモデルが資源のストックとして機能するのである。さらに、こうした資源やテクノロジーの組み替えを適切に遂行する上での指針となるのが、企業家が保持している根源的な価値である。しばしば、企業家は自らの価値観や信念に対して視野狭窄に陥ることがある。そのため、根幹となる価値に立ち戻り、俯瞰的な視野のもとで、“どのようなサステナブルな社会を実現したいのか、多様なステークホルダーのどのような価値を充足していくのか”について内省的思考を行う必要がある。このように、サステナブルな企業家は、根幹となる価値を軸としてビジネスモデルのブリコラージュ的変更を行い、サステナビリティの価値を実現していくことになるのである。「サステナブルな企業家活動は、価値主導的な資源・テクノロジー、能力の組み替えによってビジネスモデルを段階的・逐次的に変化させ、制度的多元性のコンフリクトを克服していく」ということが本論文の主張である。

最後に、今後の研究課題を述べておきたい。サステナブルな企業家活動の研究は、その活動プロセスを詳細に分析する一方で、その活動が社会のサステナビリティにとってどのように影響を与えているのかという点を考慮していない。社会のサステナビリティの実現は長期的なものであるがゆえに、スタートアップのプロセスの分析では成果変数が捨象されてしまう。企業家の意図と成果を識別することによって、サステナブルな企業家活動の影響をより正確に把握できるようにすることが重要であろう。

また、サステナブルな企業家は、広範な経済的・社会的システムの一部を形成し、多数のサステナビリティを重視する組織やステークホルダーグループと相互に影響し合っている。したがって、企業家個人に着目するだけではなく、こうしたアクターとの多様な相互作用を分析する必要があるだろう。そして、こうした相互作用が、企業家活動の長期的なダイナミクスにどのような影響を与えているのかを検討することが重要である。価値創造は段階的に進行し、ビジネスモデルは時間の経過とともに進化していく。こうしたダイナミズムを探ることによって、サステナブルな企業家活動の研究はより一層豊かな示唆を得ることができるであろう。

参考文献
 
© 経営哲学学会
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