気象集誌. 第2輯
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流線トポロジー解析(TFDA)による大気ブロッキング現象の抽出とその型同定
宇田 智紀坂上 貴之稲津 將古賀 一基
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2021 年 99 巻 5 号 p. 1169-1183

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抄録

 本論文では500hPaの等高線が作るトポロジー構造を抽出して大気ブロッキング現象の同定を実現するアルゴリズムを提案する。このアルゴリズムは,構造安定な2次元のハミルトンベクトル場の作る流線パターンのトポロジーによる分類理論に基づいて、この流線構造に部分順序根付き木(partially cyclically ordered rooted tree=COT)表現とそれに付随するレーブグラフ(Reeb graph)という木構造を一意に割り当て、それを用いてブロッキング同定を可能にする。この方法は,従来手法に比べて気象学的なパラメータをほとんど利用せずに簡便かつ効果的に大気ブロッキング現象を抽出できる。加えて、従来手法では困難であったオメガ(Ω)型や双極子型といった大気ブロッキングのタイプ(型)を区別することもできる。このアルゴリズムで同定された大気ブロッキングイベントの期間やそのタイプは現業予報で行われている主観的な判断とよく一致する。

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© The Author(s) 2021. This is an open access article published by the Meteorological Society of Japan under a Creative Commons Attribution 4.0 International (CC BY 4.0) license.
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
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