2021 年 99 巻 6 号 p. 1395-1412
11種類の説明変数セットと5種類のモデル化手法(3種類の統計モデルと2種類の機械学習)を組み合わせて、東京における翌日の熱中症搬送者数を予測する55種類のモデルを開発した。予測期間は2010年から2019年の10年間である。6つの説明変数(気温、相対湿度、風速、日射量、6月1日からの日数、1日前の熱中症搬送者数)と一般化加法モデルを組み合わせたものが本研究では最良の予測モデルであり、翌日の熱中症搬送者数の二乗平均平方根誤差(root mean square error, RMSE)が最小となった。このモデルは従来の予測モデル(説明変数として気温を、モデル化手法として一般化線形モデルを用いたモデル)と比較して、RMSEが52.1%減少した。さらに、説明変数とモデル化手法のそれぞれが予測精度にもたらす寄与を調べたところ、上記の6つの説明変数を用いたことによりRMSEが49.7%、一般化加法モデルを用いたことによりRMSEが14.6%減少したことが分かった。