抄録
著者等は地磁氣及地電流の相對應する脈動の位相差が週期によつてどの様に違ふかを實測の結果から調べ,二三の假定をおいて簡単な數理的の計算から出した結果と比較して見たのであるが,主な結果を列擧して見れば次の様である.
(1)磁力計の磁石及び電流計の動コイルの強制振動に特に留意し,それに外力として働く磁力及電位差の變化と強制振動との位相差を推算して結果に對して補正を施した.
(2)かくして補正を施した結果は第一圖に圖示した通りであつて,これを柿岡と比較して見ると,器械的位相差の程度だけ柿岡の方が大きい.
(3)一日を六時間毎の四區劃.こ分ち各區劃毎に平均をとると,區劃により結果には僅かながら差異があるらしい.
(4)磁力及電氣力が確率曲線で示される様な形の分布をとるとすると,數理的に取扱つた結果は一番實測の結果に近くなる.
(5)この時異つた觀測地點では位相差に差が出來る.云ひかへれば地磁氣なり地電流なりの脈動が傳播するに時間を要すると考へたと同じ結果になる.但し起時の差は小さいもので柿岡と豊原との距離で一秒の程度である.