気象集誌. 第2輯
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1949~1950の台風の調査報告
第1部台風眼
渡辺 和夫
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1951 年 29 巻 9 号 p. 314-319

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抄録
從来わが国でなされてきた台風の調査は主として日本附近に来襲した最盛期以後のものにつき,地上観測を主とした資料によつてなされて来たので台風の全貌を見ることは困難であつた.幸にこの数年来米空軍によつて行われている精密な台風観測飛行の資料を43気象隊より提供されているので,これを用いて台風の発生より衰弱までの色々な調査をこころみた.先ず一番手つとり早い台風眼から述べよう.台風の生涯を発生期,発達期,最盛期,衰弱期に分けたが,これは台風エネルギーの変化を表わすのに非常に便利である.
1.台風眼の大きさは発生期には増大するが発達期には直径20-30マイルになり,後縮少してゆき最盛期において急に広がる.衰弱期に入つて眼は消滅するがその靜穏域はかなり後までみとめられる.
2.眼の型は普通円型であるが時として楕円に変形していることもある。この原因としては台風が收歛線上にある場合とか,中心軸の傾きなどがあげられる。
3.眼の開口-しばしば眼を囲む雲の壁の一部がかけていることがあり,その主な原因はやはり收歛線の存在か軸の傾きであろう,またこの開口部の方向と台風の発達との関係はビヤークネス,ホルンボーの軸の傾きと低気圧の発達にかんする理論と一致した。
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© 社団法人 日本気象学会
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