気象集誌. 第2輯
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台風域内の風速分布の非対称性について
吉住 禎夫
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1968 年 46 巻 3 号 p. 153-159

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抄録

気圧分布が同心円状である台風が一定速度0で移動している時の下層における風速分布を論ずる。座標系は,台風とともに移動する座標系を採用する。
まず,摩擦を無視し,相対流線が-∇Hp-ƒκ×Cに垂直であると仮定して,傾度風近似により移動のみの影響を調べる。次に,地表摩擦を考慮するために,初めに求めた風速分布を境界層上の風とし,Rosenthal(1962)のmodified Ekman spiralを適用して,台風域内の下層の風速分布を求める。その結果,移動により左右の非対称性は生ずるが,前後の非対称性は生じない。地表摩擦を考慮することにより,最強風域が右後方に,動径分値については inflow の最大が右後方に,中心に相対的な動径分値については, inflowの最大が右前方に得られ,実測されるような風速分布の非対称性が説明される。

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