抄録
冬期成層圏大規模波動擾乱よる水平運動量輸送の年々変化を,北半球30mb等圧面高度のgridpoint dataを用い,1963~1967の5年間にわたる各冬期の3ヵ月平均を求めて調べた.波動の特性を明らかにするために,全輸送量を定常波によるものと非定常波によるものとに分離し,更にそれぞれを波数別にも計算した.低緯度成層圏に見出される北向き運動量輸送は中緯度のプラネタリー波が低緯度に侵入して来る結果であると思われる.水平運動量輸送の年々変化はWallaceとNewe11(1966)の結論とは異なり,必ずしも赤道成層圏帯状流の準二年周期振動と直接の対応は示さないが,冬期成層圏循環におけるプラネタリー波の変動の様相は低緯度帯状流と有意な関連を持っていることがわかる.