気象集誌. 第2輯
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スコールライン形成のときの大気境界層の客観数値変分解折
佐々木 嘉和ルイス ジョンエム
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1970 年 48 巻 5 号 p. 381-399

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抄録

風の水平と垂直成分,気温,気圧,水蒸気の初期値分布を大気境界層モデルを用いて客観解析を行った.客観解析は佐々木の数値変分解析法(1969a,b)による.この方法は観測データと同時に現象を記述していると思われる力学的,熱力学的支配方程式を用い初期値を定めるものであり,4ケの連立偏微分方程式を附随した境界条件の下にとくことにより完全に初期値分布を定めるものである.その連立方程式はリチャードソンの緩和法で数値的にといた.
上述の初期値とそれを用いた予報を1968年6月10日にアメリカ中西部におきたスコールラィンによるSevere weatherのデータに応用した.地上から1.5kmまでの境界層と水平にはほぼ2000×2000km2の広さの地域を対照にした.水平の格子間隔は.190km,つまりNMCグリットの半分,垂直には200m毎に格子点をとった.初期値をきめるとき予報方程式に組合せて使用した観測データは次の二通りである:1) ラジオヅンデの観測網からえられた風と湿度,2) NMC解析からえられた気圧と気温観測.気圧と気温のデータはラジオゾンデの記録からのみとって用いると同じデータ ソースであるのでもっとコンジステントなデータの組合せになると思われるが,上のデータソースの混成は数値変分解析法の融通性を示す一例としてなされた。混成にあたりそれそのデータの信用度により最初の変分方程式に含まれるウエイトを適当に選択する,"Severe Storm index"つまり上昇流の速度と水蒸気量の積,を境界層の中間のレベルで計算しその初期分布,3時間後と6時間後の予報された分布を地上から観測されたSevere weatherの報告とくらべた

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