気象集誌. 第2輯
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モンスーンじょう乱の研究(そのII)じょう乱の力学的構造
T. N. KrishnamurtiMasao KanamitsuRamesh GodboleChia-Bo ChangFred CarrJulianna H. Chow
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1976 年 54 巻 4 号 p. 208-225

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抄録
この論文はモンスーンじょう乱の構造についての第2報で,じょう乱の力学的構造を観測及び種々の数値予報の結果から論じた。観測から求められた南北方向の渦位の分布は変曲点を持ち,じょう乱はcombined barotropic-baro-clinic不安定(internal jet instability)の必要条件を満す一般場の中にあることがわかった。この不安定の可能性をさらに追求するために,quasi-geostrophic baroclinic modelによる数値予報を行った。この予報から求められたエネルギーダイアグラムは,じょう乱のエネルギーがcombined barotropic-baroclinic不安定によって維持されていることを示した。
じょう乱の移動の要因を調べるために,種々のモデルによる予報を行った。じょう乱の西方への移動は,barotropicmodelおよびquasi-geostrophic baroclinic modelではうまく予報出来ないことがわかった。一方,多層primitivemodelによる予報は良い予報結果を与えた。このモデルは運動,温度及び比湿の場を予報し,地面における熱交換,積雲のパラメタリゼーション,大規模の潜熱放出,地面のheat balance,平滑化された山の効果等を含んでいる。このモデルによって予報された比湿及び潜熱の分布と雨量の実測との比較,モデル及び観測に基いたenergetics等が調べられた。この論文の主な結果としては,擾乱が主として積雲対流によってつくられ維持されていることが示された。
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© 社団法人 日本気象学会
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