抄録
東西方向に平均化された,いわゆる気候モデルでは顕熱の南北渦輸送を表現する場合に,時間に関して一定な渦拡散係数Kがよく用いられる。本論文でKを時間の関数として取扱い,時間間隔τについての平均値唱K(τ)とその標準偏差<√K'(τ)2を求め,√K'(τ)2/K(τ)は1/√τに比例することを示した。またこの結果を用い,もし>'K,(T)2/K(τ)が0.2位になるためには,τは1ヶ月以上でなければならないことも示した。
論文の後半では東西方向に平均化された地表面気温T0,上下方向の平均気温[T]の季節変動を求めた。この計算にはいわゆる東西方向に平均化された気候モデルを用い,一定の√K'2を与えてKを時間の関数とした。K=一定とK=時間の関数とした場合についての気温変動差を求め,その差は高緯度で大きく熱帯では小さいことを示した。更に気温変動差の月平均値を求め,NCARの大循環モデルでえられた1.5kmの気温についての,29日平均の雑音レベルとの比較も行ってみた。