気象集誌. 第2輯
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気象衛星によるステレオ高度計算法の原理と雷雲上に発生する成層圏内巻雲への応用
藤田 哲也
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1982 年 60 巻 1 号 p. 355-368

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抄録
静止衛星画像を使って近似的に精度の高いステレオ高度計算法を開発し,日本の"ひまわり"1号とアメリカの静止西衛星の写真から熱帯収束帯附近の雲の高さを計算した。またアメリカの西と東の静止衛星画像を使って雷雲頂の凹凸を赤外温度分布と比較決定した。その結果,赤外温度の方が推定した雲頂温度より5から10*高いことが分った。
その原因は,かなとこ雲の上空1からkmの高さの成層圏下部に存在する巻雲が赤外放射温度を見かけ上高めるためで,巻雲の様相は1971年から1978年にかけて行われたLear Jet実験観測によって何度も確認,撮影されている。その巻雲は,ドーム型に突出した雲頂がかなとこ雲の中に急激に下降する時,ドームの風下側に発生する。比較的温度の高い巻雲におおわれた突出ドームの赤外温度は,ドームそのものの温度より可成り高いので,赤外温度の上昇がドームの沈下のためかそれとも巻雲の増加によるものかを放射温度測定だけで判定する事は困難である。
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© 社団法人 日本気象学会
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