1984 年 62 巻 3 号 p. 573-582
エアロソルによる散乱光強度の角度分布の情報から,エアロソルの複素屈折率及び粒径分布が,Inversionlibrary法を用いて,求められてきた。ここでは,1978年2月から11月に至る,仙台•青葉山での250の観測例から,これらの粒子の光学的性質の湿度依存性についてまとめた。
この期間のデータを一定の湿度範囲毎に分類してみると,エアロソルの光学的性質に,湿度に対する顕著な依存性のあることが明らかとなった。この依存性を説明する為に,Hänelの理論を適用した。この時,粒子の乾燥状態での複素屈折率を1.58-0.04iとし,質量増加係数を屈折率の観測値から推定した。この値は,これまでの他の結果と比較して,妥当なものである。
これらの結果を確認する為に,実際の大気を用いて,数例の加湿実験を行なった。その結果は,2月から11月までの観測から得られた傾向を支持するものであった。