気象集誌. 第2輯
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表面地形を含む準地衡順圧低次モデルの分岐特性
余田 成男
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1985 年 63 巻 4 号 p. 535-546

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抄録
地球流体システムの1つの数値モデルとして,表面地形の効果を含む準地衡•順圧•低次モデルを作成し,モデルの定常解および非定常解の分岐特性を調べた。低次モデルはCharney and DeVore (1979) の3元モデルを拡張したもので,6元の非線型常微分方程式系から成る。このモデルは,スペクトル成分が2つの対称群(空間対称性に関する)から構成されるもののなかで,最も簡単なものである。
Charney and DeVore (1979) の3元モデルやこの問題に関するその他のモデルの結果と比較して次のような新しい分岐特性を得た。(1)極限点に加えて分岐点が存在することによって定常解の多重性が可能である。(2)超臨界型または亜臨界型の Hopf 分岐によって周期解が出現する。(3)非定常解(周期解および非周期解)に関しては次のような特性がある:対称性の低下する周期解分岐,周期倍化分岐,間欠性カオス。安定解の多重性という観点からみれば,ある外部パラメータの範囲では,複数の安定定常解に加えて,同時に安定周期解が存在する。
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© 社団法人 日本気象学会
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