気象集誌. 第2輯
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30-50日周期波動の経年変動
A.V. Mehta
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1988 年 66 巻 4 号 p. 535-548

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抄録
850mb面と200mb面における30-50日周期の運動場を総観的手法を用いて解析した。今回の解析においてはその経年変動について調べた。
同様な解析を1979年FGGE年について行った結果は,a)200mb面での年間を通じて地球上を東進する超長波スケールの発散波動,b)850mb面で夏の期間にMONEX 地域(東経30度-150度,南緯30度-北緯40度)を北進する一群のトラフとリッジを示した。
我々は長周期波動の時間フィルターの幅に対する敏感性を慎重に解析した。結果は,この現象は非常にはっきりとした振舞いをし,フィルターの幅にはあまり敏感ではないことを示した。1980年から1984年にかけての850mb面における30-50日周期波動の流線•等風速線解析は,MONEX 地域を北進するトラフとリッジのシステムを1982年の5,6,7月および1983年の同期間について示した。北進の速度は,1979,1982,1983年の夏においては約0.7度/日であった。1980,1981および1984年の夏においては,トラフとリッジの線は一定した北進を示さなかった。これらの年においては進行方向および速度は月毎の変動を示した。1980および1981年のトラフとリッジのシステムは定常的であるか,ないしは幾分の北進を示した。1984年の夏においてはトラフとリッジの進行は5月と6月に北向き,7月と8月に南向きであった。
経年的にみると夏のインドモンスーンの開始と中休みの時期は,インドにおける30-50日周期のトラフとリッジのシステムの通過と密接な関連を示している。
200mb面での速度ポテンシャルの全球的解析は,東進波の存在を1979年と,1982年10月から1983年10月の期間について示した。他の期間については,進行方向が幾分よく定義できる。発散波動の振幅は年毎の変動が大きいことが分かった。30-50口周期波動は1979,1982および1983年においては200mbおよび850mb面とも同様な振舞いを示す。1982-83年はエルニーニョ年であり、1979年は,東部赤道太平洋における1°C程度の弱い海面水温の上昇で特徴づけられる。両者の年ともインドは干ばつであり,インドの南ではやや降雨量の増加がみられたのが特徴的であった。
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© 社団法人 日本気象学会
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