気象集誌. 第2輯
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ECMWF解析から見積ったアジアの夏のモンスーンにおける放射と地表面エネルギー交換の役割
R. P. Pearce
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1992 年 70 巻 1B 号 p. 303-318

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抄録

まずモンスーンの特徴の記述が、南北両半球間で起こっている特性を強調し、インド周辺の降水による潜熱放出とインド洋の放射冷却が下層・上層のモンスーン流を決めている様子を示すことによってなされる。
次にECMWF解析値を用いて1990年6-8月の期間について半月毎の地表面での潜熱・顕熱交換と対流圏の全加熱を見積るために、22.5°N-32.5°S、37.5°E-117.5°Eの領域が選ばれる。地表から大気に入ったエネルギーの内、領域から外へ運ばれるのは1/4以下の量であり、残りは主に南インド洋での放射冷却で相殺されている。
モンスーン降水の位置・強さに関わって観測される変動の多くは、少なくとも一ヶ月までの時間スケールでは、この領域内のフィードバック機構で主に決定される。このような研究がルーチン的に行なわれ領域モデルによる数値実験と組み合わさることで、これらの変動過程の理解に寄与できることが提案される。同時に、境界でのより小さいフラックスの解析によって、モンスーン循環とENSOに代表される大規模な現象との相互作用の本質を特定し定量化することができよう。

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