抄録
次世代の大循環モデル(GCM)に必要とされるテラフロップス機(毎秒1012回以上の浮動小数点演算ができる計算機)の一つの可能性はSIMD (Single Instruction stream, Multiple Data stream)法による超並列計算機である。SIMD法でモデルを走らせるうえでの問題は、モデルの物理過程のパラメタリゼーションがこの種の機械に対して効率良く計算できるようになっているかどうかである。並列機の各プロセッサがモデルの各グリッドに割り当てられると仮定して、SIMD法で効率的に計算できるかどうかの可能性を評価するために、GCMの物理過程を解析した。この論文ではさまざまな物理過程ルーチンに対する結果を、MIMD (Multiple Instruction stream, Multiple Data stream)法で計算を行なった場合に得られるものと比較した。その結果、SIMD法のMIMD法に対する非効率性は15%∼20%に過ぎないことが分かった。これはSIMD法にとって満足の行く結果であり、気候モデルや数値予報にとってSIMD計算機をしりぞけるべきでないことを意味している。