垂直レーダーとマイクロ波放射計を用いて気柱中の雲水量と氷水量の観測を1989年に南極昭和基地で行った。その結果、雲水量の多い雲(>40mg/cm2)は秋に、雲水量の少ない雲(<20mg/cm2)は冬から早春に多く見られた。雲水量の多い雲の頻度は、昭和基地の気温より海氷域の面積の季節変化によく対応していた。南極外洋から大陸に近づく間に海氷上で雲水の氷化が進むと考えられる。雲水量の多い雲は少ない雲に比べ海岸から50km以内に多くの降水をもたらした。この海岸付近の降水の増加は、大陸斜面上の地形効果による降水の増加と考えられる。