抄録
衛星搭載型、及び地上設置型の複数のリモートセンシング機器のデータを用いて北海道西岸の日本海に発生する帯状雲の解析を行った。AVHRR/NOAA及びVISSR/GMSの赤外輝度温度データは雲頂の構造を、SSM/I及びレーダーは雲内の構造を把握するために用いた。
2シーンの解析から、西側が雲水が卓越した部分、中央部に降水域、そして東側が雲水・降水粒子の少ない部分、という東西方向の非対称構造が明らかになり、上昇流の軸が西側にあることが示唆された。この特徴は定性的には時間変化はみられなかったが、東西方向の雲頂構造に時間変化が認められた。また、南北方向には内部構造の特性に量的な違いが存在した。これらの構造の時空間変化はメソα低気圧の影響を受けていると考えられ、帯状雲が、北西季節風と北東風の不連続線から発達したメソα低気圧における前線的な存在であることを示唆した。