「心の平穏を維持するためにはいかなる心の姿勢が肝要であるのか」その恒常的、普遍的な心のあり方を、脳科学や幸福感についての心理学的知見それぞれの観点から理論的に考察し、「感謝」をキーワードにした仮説を立てた。そして、それを実証するため、「集中内観」の直前および実施約2ヶ月経過後に、同一研修者に対して不安検査 (STAIの特性不安検査) などを実施し、その数値の変化を測定した。その結果、研修者の約80%に感謝の高まりが見られ、また、研修前後における特性不安の平均値には、著しい減少とともに有意な差が認められた。このことから、集中内観による感謝の気持ちの高まりと、特性不安の軽減およびその持続性との間には、密接な関係があると考えられた。
1週間の集中内観、および、日常生活の中で内観3つのテーマによる思考枠を習慣化していくことは、他者や自然界からの配慮、生かされている事実に対する感謝の気持ちを養う心のトレーニングでもあり、心因性疾患の予防・改善とともに、対人関係を円滑にし幸福な人生を送るための現代の“妙薬”であると考えられた。