1996 年 2 巻 1 号 p. 35-40
発症以来, 約8年間うつ状態が出没した神経症性うつ病の患者に集中内観療法をおこなった結果, 終了直後に軽い感情高揚状態となりうつ状態は消失したが, 退院後日常内観を中止して間もなくうつ状態が再燃した。改めて日常内観を続けることによって安定状態が持続するようになった。内観を勧めてから実施するまでに数年間の期間があり, 集中内観は患者が自殺念慮を抱いて家出をしたのを契機に実施したことも高揚感出現の一因と考えられた。日常内観を続けることで, うつ状態は消失しているが, 家族の積極的支持が乏しいことから, この安定した状態は「仮の安定」とも考えられる。