内観研究
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Print ISSN : 2432-499X
原著論文
内観過程にコラージュを試みた事例の一考察
− ことばとイメージの併用による効果 −
古谷 スミ子真栄城 輝明
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2014 年 20 巻 1 号 p. 51-63

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抄録

 コラージュ療法は、「持ち運べる箱庭」のコンセプトのもとに1987年に開発された芸術療法のひとつである。コラージュ作品に表現されたものはことばにならない無意識の世界のことが表現されたものであり、そのため大きな気付きを得て自己変革がもたらされる。ことばにならない無意識を表現する技法として、内観過程にコラージュを併用することで両者の方法が補完でき、内観過程における心的変化を促進させるのではないかと考えた。また今までのところ内観過程にコラージュを導入した関わりは見当たらない。そこで今回筆者は、内省法としての自分の内観体験を研究するものとして、内観過程にコラージュを併用することで、内観における心的変化が早期に出現しかつ促進されるかどうか、内観の効果をより有効的にできることを目的に、内観後にコラージュ作品を作ることを試みた。方法は、内観は事実を手掛かりに3項目を調べて「ことば」で報告し、コラージュは一日の内観終了後、その日内観したことを振り返り、自分の中にわいてきたイメージや想いをマガジンピクチャー法で制作し報告した。その結果、3日目のコラージュ制作時に状態の変化が表れた。対象は夫に対するもので、内省によって深層心理が開かれ、コラージュ制作で内面の変化が表現された。ことばとイメージを内観過程に併用させることで、内観者の心的変化がリアルタイムで表現され、内省がより深く具体的なものになる傾向が見られた。このことは内観者のコラージュに表現されたCISSの下位尺度の評定値などでも裏付けられ、今後の内観に効果的な方法となりうる手掛かりを得た。今回は1事例の結果であるが、今後事例を重ね考察を深めたい。

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© 2014 日本内観学会
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