2015 年 21 巻 1 号 p. 29-41
本研究は、内観面接における内観者の「語り」の変化に焦点を当て、集中内観中に内観者がたどる心理的変容プロセスを明らかにすることを目的とした。集中内観終了後のアンケートで内観効果を実感したと回答した15名の内観者を対象に半構造化面接を実施した。収集した発話データはM-GTAを用いて質的分析した。内観者の内観面接での「語り」は『面接者との相互関係』『内観面接の場の特殊性』『<過去>認識変化』という3要因から影響を受け、内観者の内観の深まりによって3段階で変化することが示された。同時に、其々の影響要因に対する内観者の認識も変化も示された。内観者の「語り」の変化過程と影響要因との関係を仮説モデルに示し、内観面接における内観者の「語り」と内観者の心理的変容過程との関連について考察を加えた。