指宿竹元病院では、1975年よりアルコール使用障害の治療プログラムに1回の集中内観を適用していたが、2004年よりギャンブル障害の治療プログラムに2回の集中内観を導入し有効だったため、2007年より全ての依存症入院治療プログラムで2回の集中内観を実施してきた。集中内観を行うことで内観が深まることや、ギャンブル障害では6か月から30か月で治療効果があることが示されてきたが、2年から5年の予後については明らかにされていなかったため、273人を対象に電話調査を行った。その結果、アルコール使用障害の回復状況は、完全回復が26.4%から43.3%、部分回復が5.8%から9.4%、再発が47.2%から67.8%だった。ギャンブル障害では、完全回復が36.4%から59.3%、部分回復が6.8%から11.1%、再発が29.6%から56.8%だった。どちらも良好な治療成績であると推察され内観療法の有効性が示唆された。また、アルコール使用障害で回復している者は、初回入院、就労、通院、同居と関連しており、社会的な関わりが良好に保たれている者だった。2回集中内観を実施したことでの効果は不明だが、内観療法を通して依存症者の心理的特徴である自己中心性や否認が改善することで、社会的な関わりを良好にするのではないかと推察された。