2022 年 28 巻 1 号 p. 97-103
難しいといわれる日常内観の継続を促すために、その方策の一つとして真栄城(1999)は「一日内観」について述べたが、我々はそれを心理相談室における分散内観として試みた。私設心理相談室の一画にある和室を内観室として用い、集中内観体験者による「一日内観」を個別的かつ継続的に実施し、面接者と内観者という異なる視点から考察を行った。
1年間に計5回の「一日内観」が行われ、内観者は「日常」と「非日常」を繰り返すことで、集中内観とは異なる気づきを得た。分散内観として心理相談室で行う「一日内観」は、集中内観の効果を深め、内観者を支援する方法の一つとして有用と考える。