内観研究
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事例研究
ギャンブル障害に対する内観療法の有効性
- 一事例を通しての検討 -
原口 芳博塚﨑 稔谷口 大輔
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2023 年 29 巻 1 号 p. 63-79

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抄録

 ギャンブル障害に対する内観療法の有効性の検討を目的として、断ギャンブルが継続している70代後半の男性の事例の治療経過を報告した。方法としては半構造化面接と心理検査(YG性格検査とTEG Ⅱ)を実施した。その結果は「内観療法の肯定的認知」(2019)と「日常内観の継続」(2019)という、我々が以前報告した知見と一致するものであった。かつ本事例においては「隔離された環境」と「迷惑をかけたことの項目」も有効性として抽出された。心理検査の結果から「自分勝手気ままな面があるものの、活動性が低く穏やかで大人しい」という性格特性が示唆され、この性格特性が断ギャンブルを支持する要因となっていることが考えられた。また本事例の主治医やスタッフ、仲間との肯定的な人間関係などの諸要因も断ギャンブル継続を支持する要因として寄与していることについても言及した。

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© 2023 日本内観学会
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