2014 年 8 巻 5 号 p. 259-265
要旨: 【目的】髄膜腫に対する低濃度n-butyl 2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた腫瘍内血管への塞栓術の有用性を報告する.【方法】摘出術前に髄膜腫が疑われNBCA による塞栓術が行われた12 例を対象とした.12 例22 腫瘍栄養血管に対して10〜20% NBCA を用いて塞栓術を行った.NBCA による腫瘍内血管への塞栓の程度と摘出術における塞栓の効果について検討を行った.【結果】塞栓は全例で行うことができ,17 血管(77.3%)で腫瘍内血管まで塞栓できた.特に,加温された10〜12.5% NBCA が腫瘍内血管への塞栓に有用であった.7 例(58.3%)で全体もしくは硬膜付着部を中心とした腫瘍壊死,軟化を認め,摘出を行うにあたり塞栓術は特に有効であった.【結論】超低濃度NBCA を用いた塞栓術は,腫瘍内血管への到達が期待でき有用であった.効果的な塞栓術のためには,NBCA の性質,特に濃度と接着性,粘稠度との関係に対する理解が重要である.