抄録
要旨: 【目的】ヘパリン起因性血小板減少症を発症した症候性頚部内頚動脈狭窄症の患者に,アルガトロバンを使用して頚動脈ステント留置術を施行した1 例を報告する.【症例】73 歳男性.右大脳半球症状で発症した内頚動脈狭窄症に対しての内科的治療の経過でヘパリン起因性血小板減少症を発症した.慢性期に代替抗凝固薬としてアルガトロバンを使用した頚動脈ステント留置術を施行した.施術中に活性化凝固時間,活性化トロンボプラスチン時間,およびプロトロンビン時間国際標準比を測定し,安全な施術が可能であった.【結論】ヘパリン以外の静注可能な抗凝固薬の使用の実際を知ることで,安全な血管内治療が可能となる.