2023 年 20 巻 2 号 p. 1-
【目的】国外におけるがん治療に関連した認知機能障害がある患者に対する介入研究について文献をレビューし,介入およびその成果から看護師の役割について示唆を得ることである.【方法】文献検索は,MEDLINE,CINAHL のデータベースを用いて行い,期間は2014年~2021年12月までとした.検索用語は「Cognitive dysfunction」,「cancer related cognitive impairment」,「cancer」,「nursing」のキーワードを用いて,英語に限定して行った.選定基準と除外基準を満たした8件を抽出し,分析した.【結果】国外文献におけるがん治療に関連した認知機能障害がある患者に対する介入方法は,認知行動療法が4件,補完代替療法が4件であった.介入の対象者はすべてがStage Ⅰ~Ⅲ期までの乳がん患者であり,年齢は18~75歳で代替補助療法が終了している,もしくはホルモン療法を継続している状況であった.認知行動療法は,コンピューターを用いた脳トレーニングと集団教育を組み合わせたものや代償的認知トレーニングの介入であった.補完代替療法は,マインドフルネスストレス低減法や気功,ピアノの個別レッスンなどの介入方法であった.すべての介入において認知機能や認知機能に関連する疲労やQOL の改善が示されていた.【考察】がん治療に関連した認知機能障害がある患者に対する介入は,長期間を要するため早期に発見する必要がある.また,治療前オリエンテーション時から認知機能障害に対する知識や対処について準備教育を行うことや,補完代替療法の技能を有する職種への連携や調整は看護師が担う役割であると考える.さらに,患者が介入方法を生活の中に取り入れ,習慣化できるよう地域連携を含めた継続支援も看護師の重要な役割である.