自然言語処理
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論文
品詞間接続制約の LR 構文解析表への組み込みの局所性の解消
野呂 智哉田中 穂積橋本 泰一白井 清昭
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2009 年 16 巻 3 号 p. 3_81-3_101

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抄録

LR 構文解析表(LR 表)を作成する際,CFG 規則による制約だけでなく品詞(終端記号)間の接続制約も同時に組み込むことによって,LR 表中の不要な動作(アクション)を削除することができる.それにより,接続制約に違反する解析結果を受理しない LR 表を作成できるだけでなく,LR 表のサイズを縮小することも可能であり,構文解析の効率の向上が期待できる.これまでにも接続制約の組み込み手法はいくつか提案されているが,従来手法では,注目する動作の前後に実行され得る動作を局所的に考慮するため,削除しきれない動作が存在する.そこで,本論文では新しい組み込み手法を提案する.提案手法では,初期状態から最終状態までの全体の実行すべき動作列(アクションチェイン)を考慮し,接続制約を組み込む.評価実験の結果,従来手法と比較して,不要な動作をさらに約 1.2% 削減でき,構文解析所要時間は約 2.4% 短縮できることが分かった.最後に,提案手法の完全性について考察する.

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© 2009 言語処理学会
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